- MicrosoftはSurface Neoの開発を“中止”でなく“凍結”している
- ただし一部情報ではSurface Neo発売の可能性はゼロとのこと
- 2画面デバイスではなく1画面を折りたたむ方向に転換しているとも
2019年に発表された、Microsoftの2画面PC『Surface Neo』。発表から約3年が経過したが、何の音沙汰もないので、懲りずに動向を追ってみました。
Windows 10XとIntel Lakefieldを採用してしまったのが、結果的には運の尽きでしたわね。
何と言うか…夢オチになっちゃったやんね。
目次
はじめに
『Surface Neo』の概要
『Surface Neo』とは、Microsoftが2019年に発表した、2画面搭載の折りたたみタブレットPC。
多くのスペックは謎に包まれたままですが、OSが『Windows 10X』、CPUが『Intel Core i5-L16G7』、ということは明らかになっております(OSもCPUも発表当時のもの)。
2つのディスプレイはタッチ操作に対応しているだけでなく、Microsoft Surfaceではおなじみのデジタイザーペン『Surface Pen』にも対応。これにより、手書き入力やお絵描きも可能。
Surface Neoには専用のキーボードが用意されており、キーボードをディスプレイ上に設置すると自動的に認識し、専用のUIがオンになる仕組み。製品発表時の紹介で、ディスプレイがトラックパッドになったり、Touch Bar的なUIになるように設計されていたことが分かります。
……結果的に発売されることのなかったデバイスなので、この情報で止まったままです。
『Surface Neo』のスペック
Surface Neo | |
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プラットフォーム | |
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OS | Windows 10X |
CPU | Intel Core i5-L16G7 |
RAM | 8GB |
ROM | 128GB |
ディスプレイ | |
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画面サイズ | 9インチ ×2 |
画面解像度 | 1,440×1,928 ×2 |
その他 |
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Surface Neoに関するタイムライン
①Surface Neoの発表(2019年10月)
2019年10月2日、MicrosoftがNew Yorkで開催したSurface関連のイベント『Microsoft Event 2019』にて、このSurface Neoは発表されました。
Microsoft Surfaceの父と言われているPanos Panay氏が登壇したイベントで、『Surface Pro X』や『Surface Duo』など、今後のSurfaceブランドを占うであろうデバイスが登場したのもこの日でした。
このとき、Surface Neoの発売日は“2020年のホリデーシーズン”とされており、誰もがまもなくリリースされるであろう本製品を楽しみにしていました。
②Surface Neoのページが削除(2020年10月)
2020年10月、この年もSurface関連のイベントが開催されたわけですが、それと同時に、ひっそりと公式サイトからSurface Neoのページが削除されております。
Microsoftは、2020年4月と2020年7月に、Surface Neoの発売延期を示唆する発言をしており、この段階で発売日が2022年春以降にまで伸びておりました。しかし、製品ページが削除されたことにより、「そもそも発売されないのではないか?」と噂され始めることに。
また、このタイミングで、YouTubeにアップロードされていた、Surface Neoの製品プロモーション動画も削除されて閲覧不可となっております。
③Windows 10Xの開発凍結(2021年5月)
2021年5月18日、Microsoft公式ブログである『Windows Blogs』にて、Surface Neoに搭載される予定であった『Windows 10X』が、正式にキャンセルされたことが明らかとなりました。
Windows 10Xが開発凍結となったため、一部機能はWindows 10と統合することに。今となっては、Windows 11がそのイズムを継承しているため、結果論ではありますが、このWindows 10Xの開発凍結は英断だったと言えるのではないでしょうか。
また、Windows 10Xの開発凍結と同時期に、Surface Neoに搭載される予定であったCPUである『Intel Lakefield』の生産終了がアナウンスされております。
Surface Neoにとっては、搭載されるはずのOSそのものが頓挫してしまったため、これでハードとソフトの両側面において、完全にプロジェクトが停止してしまったことを意味します。
③無期限延期状態(現在)
そして現在、事実上の開発中止となっているSurface Neoですが、Microsoftはそれを認めておらず、あくまで“無期限延期状態”ということになっております。
ただし、Surface Neoを発売するようなロードマップが組まれているわけではないため、「公式が認めていないだけで結果的にはキャンセルされている」と主張するアナリストも存在しております。
海外の著名なTech系メディアの見立てでは、Microsoftは2画面PCの開発をすでに諦めており、仮にSurface Neoが復活するとしても、それはまったく別のコンセプトを持ったデバイスになるとしています。どうやら、『ASUS Zenbook 17 Fold OLED』や『Lenovo ThinkPad X1 Fold』のような、1画面を折りたたんだ構造になるのでは、とのこと。
Surface Neoが死産になった理由
筆者としては、「発表当時の『Surface Neo』をそのまま発売してくれていいのに」と思ってしまうのですが、どうやらSurface Neoは複数の問題を抱えていたようです。
その代表的な問題として挙げられるのが、OSであるWindows 10Xの頓挫。Windows 10Xは、Win32アプリケーションをネイティブサポートしておらず、そこが大きなボトルネックに。多くのユーザーは、Win32アプリケーションの利用を望んでいるため、満足なエクスペリエンスが得られないわけです。
加えて、Surface Neoの薄型筐体(5.6mm)では、CPUの排熱効率が著しく悪かったようで、プロトタイプハードウェアでは、深刻なオーバーヒートに悩まされていたとのこと。このため、冷却ファンや冷却パッドの上に保管しておかなければ、使い物にならなかったそうです。
これらをひとことで表現すると、“無茶しやがって”。
発表段階からハードウェア設計に無理があった…というか、背伸びしすぎた感がありましたが、それを充分に煮詰めきれないまま、時が過ぎてしまったわけです。クラウドファンディングではありがちな話ですが、それをMicrosoftをやってしまった、ということなのかもしれません。
まとめ「Surface Neoよ!永遠なれ!!」
夢を見させて期待させてしまったぶん、そのガッカリ感は大きい。『Surface Neo』は、罪な幻のデバイスなのです。
中止とは言われてませんが、Surface Neoが発売される可能性はゼロに等しいでしょう。残念。
いっそ、完全なAndroid 12Lを実装した、大型のSurface Duoでもいいから欲しいのであーる。
おまけ
Surface信者としては、ガッカリな結果であーる。
期待させおいて発売されなかったデバイス、第1位ですわね。
第2位は、AppleのAirPowerですな。
各社ともに、“しくじり先生”はあるんやね。
おわり
- Accelerating innovation in Windows 10 to meet customers where they are - Windows Blogs
- How to get the Windows 10 May 2021 Update - Windows Blogs
- 1000 days since announcement, more details about now-dead Surface Neo appear - Neowin
- It’s been 1000 days since Microsoft unveiled the Surface Neo - Windows Central
もし発売されていたら…と考えると、非常にもったいないあーる。