本稿はCubbit Srlの監修を受けて執筆しております。
- 『Cubbit』 = セキュアな分散型クラウドストレージ!
- Cubbitには『Cubbit Cell』と『Cubbit Cloud』がある!
- サブスク嫌いやセキュリティ重視な人におすすめ!
“次世代のクラウド”
本稿では、クラウドストレージ『Cubbit』とは何か、について解説します。また、特長・機能・種類・構造・料金体系についても、可能な限り噛み砕いて説明していきます。
なるほど。
クラウドストレージに“新たな選択肢”が誕生したわけやね!
目次
1分でわかる『Cubbit』
『Cubbit』とは、従来とは異なる分散型のクラウドストレージ。
高度な暗号化技術(AES-256 Encryption)を採用し、とにかくセキュアでプライバシーを守る。しかも、Cubbit Cellを買えば、サブスクリプション不要でクラウドストレージが使える。
ファイルを暗号化し、細分化してP2P方式で分散保存。
ユーザーは細かいことを考えなくても、全部AIがやってくれる。
セキュリティー意識が高い人、サブスクリプションが苦手な人、エコやサスティナブルに関心がある人、みんなにおすすめ。
こーんな感じですな!
P2Pを活用した分散型クラウドストレージというわけですね。
『Cubbit』とは?
『Cubbit』とは、米国政府レベルの暗号化技術と分散型ネットワークを採用した、従来のクラウドストレージとは異なる次世代のクラウドストレージ。
Cubbit: the distributed cloud is here. - YouTube
このCubbitを運営しているのが、イタリア共和国のボローニャに拠点を構えている『Cubbit Srl』という企業です(『Srl』はイタリアでの『有限責任会社(LLC)』の意)。
Cubbitは、2016年当時、大学生だった4人(Marco Moschettini・Stefano Onofri・Alessandro Cillario・Lorenzo Posani)によって生まれたアイデアです。彼らは全員、現在のCubbit Srlに携わる主要なメンバーとなっています。
イタリアといえば、『インテルナツィオナーレ』に『ACミラン』ですな!
…クラウドストレージとまったく関係ないやんね。
Cubbitの特長
- 安全性:米国政府レベルのセキュア技術採用
- 冗長性:分散保存でデータ消失リスクほぼゼロ
- 機能性:新機能実装や性能向上に勤しむ開発陣
- 拡張性:外付けストレージで容量拡大可能(Cubbit Cell)
Cubbitの特長と言える部分をピックアップすると、上記の4項目が挙げられます。
【特長1】安全性
Cubbitは、セキュアでかつプライバシーも保護されている。
ユーザーがCubbitにアップロードしたデータは、すべて『AES-256 Encryption』という米国標準規格として導入されている堅固な暗号化が行われます。また、データを合計24個のチャンクに分割し、そのすべてのチャンクを異なる場所(Cubbit Cell)に保存しています。
これらの暗号化と分散化を行うことによって、第三者がデータを覗き見ることが不可能になっています。なお、Cubbit自体もデータを覗き見ることはできません(ここが重要)。
【特長2】冗長性
Cubbitは、データの消失リスクが限りなくゼロに近い。
Cubbitにアップロードする際に、ファイルは細かなチャンクに分割されるわけですが、それと同時に、12個のチャンクを冗長性確保のため、自動的にコピーとして作成します。そして、これらのコピーもすべて異なる場所(Cubbit Cell)に分散保存します。
また、CubbitのAIには自己修復機能が搭載されており、ネットワークの稼働率をほぼ100%になるように常時監視してくれています。
【特長3】機能性
Cubbitは、進化し続けるクラウドストレージ。
Cubbitを運営するCubbit Srlは、積極的に機能の追加やパフォーマンスの向上を行なってくれています。
また、Cubbit Srlはロードマップを自社サイト内で公開しており、「こういう機能を実装してほしい」という要望があれば、専用フォームから呼びかけることも可能です。
【特長4】拡張性
Cubbitは、ストレージ容量を安価に増やせる。
これは『Cubbit Cell』(これが何かについてはのちほど解説)のユーザー限定になるのですが、自前の外付けストレージをCubbit Cellと接続することで、簡単かつ安価にクラウドストレージの容量を拡張することができるようになっています。
Cubbitの機能
- ファイルの同期
- ファイルの共有
- ファイルのバックアップ
Cubbitでは、ファイルの同期や共有など、一般的なクラウドストレージ(Dropboxなど)と同等の機能が搭載されています。
ファイルの同期やバックアップは、web(Cubbit Hatch)から行えます。加えて、PC用ネイティブアプリ(Cubbit app)経由でも可能。また、Cubbit appには、どのローカルファイルをクラウドにアップロードするのかという選択型同期機能も備えています。
ファイルの共有機能は、ファイル/フォルダ単位で個別に行うことが可能。また、共有するファイルに、どこまでに権限(Editor・Admin・Owner)を与えるのかも設定可能です。
- Editor:編集可能・ほかの人を招待不可
- Admin:管理者・所有者以外のユーザーの追加削除が可能
- Owner:所有者・全ユーザーのファイルを削除可能
Cubbitの種類
- Cubbit Cell:買い切り型のクラウドストレージ
- Cubbit Cloud:サブスクリプション型のクラウドストレージ(SaaS)
Cubbitには、『Cubbit Cell』と『Cubbit Cloud』があり、いずれかのサービスに加入(or デバイスを購入)することで、Cubbitのクラウドストレージを利用することが可能となります。
『Cubbit Cell』とは?
- デバイス(Cubbit Cell)を購入することがクラウドの利用権
- Cubbit Cellを購入すればサブスクリプション加入は不要
- Cubbit Cellはデータ容量別に複数種類が存在
- 外付けストレージを接続して容量の拡張が可能
『Cubbit Cell』とは、分散型クラウドストレージのネットワークを構築するハードウェアそのもの。なお、NASのようなイメージを持たれるかもしれませんが、その構造はまったく異なります。
クラウドストレージといえば、“月額○○円”というサブスクリプション方式を採用しているのが一般的ですが、このCubbit Cell自体を購入することにより、ユーザーは永続的にCubbitのサービスを無料で使うことができます。
ちなみに、この『Cubbit Cell』自体が、Cubbitという分散型ネットワークそのものの“キモ”となっています。(ここに関しては後述)
512GB | 1TB | 4TB | 8TB |
40,700円 | 48,900円 | 68,700円 | 116,400円 |
Cubbit Cellの価格一覧
※価格は2022年2月28日時点(直販価格)
Cubbit Cellには、データ容量別に合計4種類(512GB・1TB・4TB・8TB)用意されており、その購入した容量がユーザーのクラウドストレージとして利用できる領域となります(厳密に言えば、Cubbit Cellの半分が自由に利用可能な領域、もう半分はコミュニティ/データコピー領域になります)。
なお、Cubbit CellにはUSB 3.2 Gen 1 Type-A(USB 3.0 Type-A)ポートが1基搭載されています。ですので、あとから外付けストレージと接続することで、クラウドストレージの容量を拡張することも可能(最大3TB)です。
『Cubbit Cloud』とは?
- サービス(Cubbit Cloud)に加入することがクラウドの利用権
- Cubbit Cellは不要だがサブスクリプション加入が必須
- データ容量は料金別で複数種類が存在
『Cubbit Cloud』とは、従来のクラウドストレージと同じく、サブスクリプション方式のクラウドストレージ。月額課金は必要となりますが、こちらはCubbit Cellが不要となります。
当初、Cubbitのサービスを利用するには、専用ハードウェアであるCubbit Cellの購入が必須だったのですが、ユーザーからの要望を受け、このCubbit Cloud(SaaS)の提供が始まりました。
Cubbit Cloudは、Cubbit Cellを買わない代わりにサブスクリプション加入が必要、ということ以外は、Cubbit Cell購入者と受けられるサービスは“ほぼ同じ”になります(アカウントシェア機能・ストレージ拡張機能は除く)。
なので、SOHOなどでは、Cubbit CellではなくCubbit Cloudを検討してみるのもよいでしょう。
100GB | 500GB | 1TB | 4TB |
€2.99/月 | €4.99/月 | €6.99/月 | €14.99/月 |
Cubbit Cloudの価格一覧
※価格は2022年2月28日時点(年決済で1ユーザーの場合)
Cubbit Cloudには、データ容量別に合計4プラン(100GB・500GB・1TB・4TB)用意されています。月ごとの決済と年ごとの決済があるのですが、年ごとの決済のほうが 12% 〜 25% 安くなります。
また、イタリアの企業なので、決済通貨はユーロになります。決済方法としては、Visa・Mastercard・PayPal・Apple Pay・Google Pay・Shop Payが選択可能です。
Cubbitの構造
同期の仕組み
Cubbitは従来のクラウドストレージとは異なる方式を採用しているので、ファイル同期の仕組みを順番に解説していきます。
ユーザーが保存したいファイルやフォルダを、web(Cubbit Hatch)やPC(Cubbit app)を通じて、『Cubbit Cell』にアップロード。
この際、データは一番近くにあるCubbit Cellへアップロードされる。
▼
Cubbitのネットワークにアップロードしたデータは、
- AES-256 Encryptionによる暗号化
- 24個の小さなデータ(チャンク)に断片化
- 12個のコピーを冗長性確保のために作成
が、『Coordinator(AIコーディネーター)』というCubbitのAIによって行われます。
この暗号化された合計36個のチャンクは、AIコーディネーターによって、自動ですべて異なる世界中に存在しているCubbit Cellに分散されて保存されます。
このとき、AIコーディネーターは、データの保管場所しか把握しておらず、ファイルの内容や暗号化キーを知りません。この暗号化キーはユーザー自身しか持っていない仕組みのため、データをAIを含めた第三者が見ることはできないようになっています。
なお、各Cubbit Cellに分散保存する際には、どのホスティングピアが最適なのかを、AIコーディネーターが自動的に判断しています(消失リスクやネットワーク性能を確保するために、適応度関数を実行している)。また、それぞれのチャンクはできるだけ遠くに分散保存される仕組みです。
▼
Cubbitのネットワークにアップロードしたデータに対して、ダウンロードやリモートアクセスしたい場合は、AIコーディネーターがP2P E2EEチャネルを介して、分散保存していた各Cubbit Cellにアクセス。
そのCubbit Cellに保存されているチャンクをダウンロードし、1つのファイルを再構築します。そして、ユーザーだけが知っている鍵ファイルで復号化し、ファイルにアクセスできるようになります。
なお、鍵ファイル(AES-256キー)は、クライアント側が生成しています。その鍵ファイルをゼロ知識証明を用いて、ユーザーがサインインしている端末なら、どこでも使えるようになっています。
つまり、Cubbitのクラウドストレージは、P2P(Peer-to-Peer)を用いたものになります。他社のクラウドストレージのような、企業が運営する巨大なサーバーに保存するという概念ではありません。
仕組みを解説するとややこしくなるのですが、ユーザーは普通のクラウドストレージと同じように使えばよいだけです。別にこれといった難しさはありません。
構成要素
Cubbitは、『User』・『Swarm』・『Coordinator』という、3つの要素を中心として展開されます。
『User』、つまりあなた自身のこと。
ユーザーは任意のデバイス(スマートフォンやパソコン)から、直接Cubbitにアクセス。データのアップロードや共有を行います。
『Swarm』、クラウドストレージ部分。
このスウォームは、数多のCubbit Cellから構築された、P2Pの分散型ネットワーク。このスウォームに、アップロードしたデータがチャンク単位で分散されて保存されます。
『Coordinator』、Cubbitを司る人工知能(AI)。
AIコーディネーターは、ネットワーク上のペイロード(正味のデータ本体)の分配を最適化やセキュリティとメタデータの管理を行なっています。
また、常時Cubbit Cellの稼働状況を監視し、ネットワークの安定性向上や冗長性確保に努めます。スウォーム上にあるファイルのリカバリートリガーも担っている。
類似サービスとの比較
| |||
Cubbit | Cloud storage | NAS | |
サブスクリプション不要 | (Cubbit Cell代金のみ) |
(約1TBで1,000円/月) |
(NAS代金のみ) |
リモートアクセス | (web/app両対応) |
(基本的に対応) |
(可能だが要知識) |
プライバシーの確保 | (データ覗き見不可) |
(取扱には注意が必要) |
(取扱には注意が必要) |
セキュリティーの担保 | (分散 + 暗号化) |
(分散保存不可) |
(分散保存不可) |
データ消失リスク | (ほぼゼロリスク) |
(リスクは低い) |
(注意が必要) |
ゼロ知識証明の暗号化 | (採用) |
(不採用) |
(不採用) |
ストレージ容量の拡張 | (可能) |
(不可能) |
(可能) |
類似サービスとCubbitの比較
※Cubbit Cellを購入した場合
類似サービス(他社クラウドストレージやNAS)とCubbitを比較すると上表のとおり。なお、Cubbit Cellを購入した場合で、想定して比較しております。
Cubbit = クラウドストレージの使い勝手 + NASの拡張性 + 高信頼性
噛み砕いて言うと、上記のような公式に当てはまるのが、この『Cubbit』というものになります。
どんな人におすすめ?
- サブスクリプションが苦手な人
- データ漏洩リスクが不安な人
- データ消失リスクが不安な人
- ビックテックへの依存度を減らしたい人
- エコやサスティナブルに貢献したい人
特に『Cubbit』をおすすめしたいのは、上記の項目に該当するような人。
[1]サブスクリプションが苦手な人
専用ハードウェアである『Cubbit Cell』を購入すれば、そのイニシャルコストだけで永続的にCubbitのクラウドストレージを利用することが可能です(サブスクリプション契約不要)。
「大容量クラウドストレージは使いたいけど、月に1,000円も払うのはちょっと嫌」という人にこそ、Cubbit CellないしCubbitというサービスは向いているでしょう。
[2]データ漏洩リスクが不安な人
Cubbitのクラウドストレージは、高度な暗号化技術(AES-256 Encryption)が用いられており、かつ1つのデータを細分化させてバラバラの場所に分散保存しています。そして、暗号化キーはユーザーしか持っておりません。
このように2重3重にデータの保護を行なっているので、「データが漏れたらどうしよう」と憂うこともありません。
[3]データ消失リスクが不安な人
Cubbitでは、AIコーディネーターがネットワーク状態を常時チェックし、稼働率が約100%になるように維持してくれています。当然、何かあった場合には自動修復を行います。
HDDやNASに保存していて、「大切なデータが消えたらどうしよう」と心配してしまうのであれば、このCubbitはうってつけのサービスです。
なお、Cubbit Cellユーザーで、手持ちのCubbit Cellが故障した場合においても、自身のCubbitネットワークからデータにアクセスすることが可能となっています。
[4]ビックテックへの依存度を減らしたい人
Cubbitを運営しているのは、Cubbit Srlというイタリア共和国の企業で、いわゆるビックテックとは関連がありません。
とはいえ、「そんな企業は知らないけど大丈夫?」と思うかもしれません。
万が一、Cubbit Srl自体が会社の危機に陥った場合は、AIコーディネーターのソースコードをオープンソースで公開すると公言しています。これにより、Cubbit Srlが消滅してしまったとしても、Cubbitのネットワークが継続して使えるようになっています。
[5]エコやサスティナブルに貢献したい人
CubbitのクラウドストレージはP2Pネットワークを採用したもので、巨大なサーバーというものはありません。これにより、従来のクラウドプロバイダーと比較して、消費電力が少なく、最大で10倍も環境に優しい仕組みになっています。
例えば、Cubbitに1TBのデータを保存するだけで、約40kgのCO2を削減できます。ユーザーの「利便性とエコを両立したい」と願望を叶えてくれるわけです。
補足
ロードマップ
Cubbitのロードマップは、こちらから確認可能です。
まとめ「まさに“次世代のクラウド”である」
- 次世代のクラウドストレージ
- 米国政府レベルの暗号化技術と分散型ネットワークを採用
- ファイルの同期・共有・バックアップが可能
- Cubbitには『Cubbit Cell』と『Cubbit Cloud』が存在
- 『Cubbit Cell』は買い切り型のクラウドストレージ
- 『Cubbit Cloud』はサブスクリプション型のクラウドストレージ
- データの漏洩リスクや消失リスクを気にする人におすすめ
この『Cubbit』、まさに“次世代のクラウド”そのもの。
非常にセキュアで高信頼性を持つ。『Cubbit Cell』を購入すれば、サブスクリプション契約は不要。クラウドストレージとして、“欲しい”と思える機能が凝縮されたサービスになっています。
しかも、エコっていうのが良いよねー!
おまけ
素晴らしいですわ!
セキュリティって大事やもんね。
うぬ!
開発も熱心に行われているし、今後注目のサービスになってきますな!
おわり
▽Reference
Cubbit
…であーる!