- USB PD充電器+モバイルバッテリーなニクいやつ!
- USB PD充電器と考えるといろいろ微妙かも!
- あくまでモバイルバッテリーの延長と思ったほうが良き!
Ankerお得意のハイブリッドタイプ!
USB PD充電器とモバイルバッテリーが一体型になった、Anker『Anker PowerCore III Fusion 5000』をレビュー。大人気PowerCore Fusion 5000の後継機種として出た本機。さぁ、その実力を…見せてくれ!
Anker PowerCore Fusion 10000は発売中止でしたからね……。
Ankerの反撃なるか…やね!
目次
Anker『Anker PowerCore III Fusion 5000』って?
Anker PowerCore III Fusion 5000ってなに?
USB PD充電器とモバイルバッテリーが一体型になった、ハイブリッドな充電器兼モバイルバッテリー。
- ハイブリッドタイプで超便利。
- 待望のUSB PD出力対応。
- USB-Cのみ利用なら18W出力可能。
- 低電流モードは意外と有用。
- USB-Aを使うとUSB-Cの出力が下がる。
- PowerIQ 3.0の賛否。
- パススルー充電が不充分。
- バッテリー容量はそこまで多くない。
外出先のサブ充電器&サブモバイルバッテリーが欲しい。
…そんな絶妙なサブ用途にピッタリな隙間産業的製品あーる!
本体チェック
■インターフェース
- 電源ボタン(LEDインジケーター内蔵) ×1
- USB Type-C ×1
- USB Type-A ×1
Anker PowerCore III Fusion 5000のサイズは、 78×71.5×30mm で、重さは176g。モバイルバッテリー機能搭載のUSB PD充電器なので、正当な評価はしづらいが、思っていた以上にコンパクト。
Anker PowerCore III Fusion 5000のポート構成は、Apple独自急速充電規格であるApple 2.4Aに対応したUSB Type-Aが1ポート、USB PDに対応したUSB Type-Cが1ポートという構成。なお、最大出力は利用ポートによって異なってくるので、これについては後述。また、LEDインジケーターは、モバイルバッテリー利用時の電源ボタンとのコンボ仕様になっています。
ちなみに、日本では『Anker PowerCore III Fusion 5000』という製品名で販売されていますが、パッケージや海外サイトを見ると、『Anker PowerCore III Fusion 5K』(1K = 1,000)という製品名になっています。
■インターフェース
- ACプラグ ×1
Anker PowerCore III Fusion 5000の後面には、可動式のACプラグ(スイングプラグ)を搭載。
このACプラグから、Anker PowerCore III Fusion 5000本体バッテリーへの充電を行う仕様。もちろん、通常のUSB充電器として使う場合にも利用します。
Anker PowerCore III Fusion 5000の上面には、特に何もなし。
Anker PowerCore III Fusion 5000下面には、この手の製品にはおなじみの認証関係やUSBの仕様関係が印刷されています。
PSEマークも当然あるのですが、本製品は充電器としてもモバイルバッテリーとしても使われる製品になっているので、2種類のPSEマークがあります。どうでもいいことだけど、ちょっと物珍しい…かも。
Anker PowerCore III Fusion 5000左面には、おなじみの“Anker”のロゴマークが印刷されています。
Anker PowerCore III Fusion 5000右面には、ロゴマークはなし。…どうして、こっち側にはロゴがないのかは謎。…いつものことですが。
付属品チェック
■Anker PowerCore III Fusion 5000の付属品一覧
- 取扱説明書
- トラベルポーチ
Anker PowerCore III Fusion 5000の付属品は、取扱説明書とトラベルポーチ。普段のUSB充電器には付いてこないですが、モバイルバッテリーとしても利用できるので、トラベルポーチが付属している模様。
Ankerの充電器は光沢感があって擦り傷に弱いから、こういうポーチは必須ですなー。
ベンチマーク
USB PD充電器の選び方については、こちらの記事からどぞー。
Vbus Hot
チェッカーで確認したところ、シンク(デバイス)未接続時にはソース(Anker PowerCore III Fusion 5000)から電圧がかかっていないことが確認できました。なので、こちらはVbus Hotではありませんでした。
Bridged CCs
USB-IF認証済のeMarkerチップ搭載の5Aケーブル(Anker PowerLine II USB-C & USB-C 3.1 (Gen2) ケーブル)を接続したところ、Anker PowerCore III Fusion 5000で接続が検出され、充電が開始されていました。
PDO
Revision | Power Delivery 3.0 |
PDO | 5V・3A 9V・2A |
Anker PowerCore III Fusion 5000のPDO(単独利用時)
Anker PowerCore III Fusion 5000のUSB PDのRevisionは、公称どおり『Power Delivery 3.0』でした。テスターで確認したPDOは上表のとおり。仕様に明記されている出力と差異のないものでした。しっかり、5V出力時に3Aで出力されています。
ちなみに、USB Type-Aポートと同時利用すると、最大出力の関係からPDOが、
5V・1.5A
だけになるから要注意あーるっ!
急速充電規格
USB Type-Cポート(USB PD)は、『PowerIQ 3.0(Gen2)』に対応している関係から、Quick Charge 3.0に対応しています。テスターで調べたところ、仕様どおり、Quick Charge 3.0が検出されました。
USB Type-Aポートは、『PowerIQ 1.0』に対応しているので、iPhoneの急速充電規格(通称:Apple 2.4A)に対応しています。テスターで調べたところ、仕様どおり、Apple 2.4Aが検出されました。また、USB BC DCPには非対応でした。
使ってみた
モバイルバッテリー + USB PD充電器
Anker PowerCore III Fusion 5000のなんと言っても便利なところが、USB充電器にモバイルバッテリーがドッキングしていること。そういうハイブリッド感がウリなので当然ですが、使ってみると、これがまぁ便利なのです。
モバイルバッテリー機能(4,850mAh)を搭載しているので、当然こうやってiPhoneをACコンセントなしで充電可能。バッテリー容量がそこまで多くないので、これだけでパソコンの充電を1日をやり過ごすのは無理ですが、スマートフォンぐらいなら余裕の容量。
また、旧モデルAnker PowerCore Fusion 5000とは異なり、USB PDに対応したUSB Type-Cポートを搭載。
USB PDに対応してくれたおかげで、充電できるデバイスの幅がかなり広がってくれました。USB PDの最大出力が18Wなのでフルフル…とまではいかなくとも、MacBook Pro 13インチは充電できました。これなら緊急用のモバイルバッテリーとしてもアリ。
中途半端なパススルー充電
モバイルバッテリーを搭載しているので、Anker PowerCore III Fusion 5000が『パススルー充電』に対応しているのか気になっている人も少なくないはず。
結論からすると、パススルー充電自体は対応しているけれども、デバイス充電中はモバイルバッテリー側への充電は制御されている、という検証結果でした。
簡単にAnker PowerCore III Fusion 5000のパススルー充電の仕様を図式化したのが、上画像になります。
要するに、
- 端末側のバッテリー充電開始
- 端末側のバッテリーが満充電
- Anker PowerCore III Fusion 5000側のバッテリー充電開始
というフローになっているわけです。
パススルー充電自体は、AC電源からモバイルバッテリーに入力した電力をデバイスへ優先的に供給すれば成立します。つまり、パススルー充電自体は対応しているということ。ただ、いわゆるデバイスとモバブーの“同時充電”には非対応。
なので、Anker PowerCore III Fusion 5000のパススルー充電の仕様は、パススルー充電には対応しているけれども、同時充電は非対応、ただし追っかけ充電は対応、となるわけです。
実は、普通にAnkerの製品ページには書かれているんだけどねー。
パススルー充電の定義が曖昧になっていたから、ややこしかったわけですね。
PowerIQ搭載は逆であるべき
個人的に「うーん」と思ってしまうのが、PowerIQが搭載されているポートとその仕様。
USB Type-A | USB Type-C | |
PowerIQ | PowerIQ 1.0 | PowerIQ 3.0(Gen2) |
互換性 | - | USB PD Quick Charge 3.0 |
Anker PowerCore III Fusion 5000のPowerIQ仕様
Anker PowerCore III Fusion 5000のPowerIQの仕様をまとめると、上表のようになるのですが…USB Type-AにこそQuick Chargeを搭載すべきでは、と思ってしまう。
USB PDとQuick Charge 3.0は本来なら共存不可なのですが、このへんは大人の事情が絡んでいる予感がするので、気になる人は気になる…にとどめておきます。ただ、そういうしがらみがないUSB Type-Aこそ、Quick Charge対応のPowerIQ(PowerIQ 2.0)を搭載すべきではないでしょうか。正直、これだと中途半端な気が……。
同時充電だと最大出力が下がる
気をつけないといけないのが、USBポートの利用数で最大出力が異なる点。
USB Type-A | USB Type-C | |
最大出力 | 12W | 18W |
USBポート単独利用時の最大出力
こんな感じで、USB Type-A・USB Type-Cをそれぞれ単独で利用した場合には、それぞれ12W・18Wのフル出力が可能。
USB Type-A | USB Type-C | |
最大出力 | 7.5W | 7.5W |
USBポート同時利用時の最大出力
ただ、USB Type-A・USB Type-Cの両ポートを同時利用すると、最大出力が合わせて15Wまで下がってしまうのが痛い。
PDOの部分で前掲したとおり、両ポートを同時利用すると、USB PDの出力が5V・1.5Aにロックされてしまう。つまり、7.5Wしか出力されていないことになる。正直、これは痛すぎる。これだと、USB Type-C Current@1.5Aと変わらないってことに……。
まとめ「圧倒的な利便性はあるけど不完全な一面はある」
そういうわけで、今回のAnker『Anker PowerCore III Fusion 5000』のレビューを総括すると…
- USB充電器とモバイルバッテリーのハイブリッド型
- USB PDに対応したUSB Type-Cポート搭載は嬉しい
- パススルー充電は対応だけど追っかけ充電になる
- PowerIQは…この仕様だとむしろ不要
- ポートを同時利用すると出力が下がるのが難
という感じでした。
PowerIQ 3.0は賛否あると思います。なので、その仕様についてどう捉えるかは任せるとして、今回の中途半端な搭載状況だと、正直PowerIQは不要かと。パススルー充電も含めて、ちょっとずつ残念な印象。
ただ、サブのモバイルバッテリーとして考えるなら、悪くはない選択肢。なので、普段から別のUSB PD充電器やモバイルバッテリーを使っていて、緊急用として欲しい。こういうニーズに当てはまるなら良いのかもしれません。
どちらかといえば、ライトユーザー向けってことなんだろうねー。
おまけ
やっぱり、Anker PowerCore Fusion 10000が欲しかったなー。
ヘビーユーザー的には、ちょっと物足りない感はありますよね。
パススルー充電もライトユーザーにはよく分からない仕様やし、それで微妙に省いたのかもやね。
ギーク向けではなかったのであーる。
おわり
これを待っていたのだっ!