- 『エネループ』と『充電式エボルタ』の違いは“生産国”にあった
- 基本的に『エネループ』は“日本製”で『充電式エボルタ』は“中国製”
- 新型『エネループ (第5世代)』は日本国内の“FDK製造”なのかに注目
Panasonicが、充電池のブランドを『エネループ』に統一することを発表しました。
これにより、『充電式エボルタ』は消滅。そこで本稿では、そんな今だからこそ知っておきたい『エネループ』と『充電式エボルタ』の違いについて、お勉強していきます。
FDK株式会社は富士通傘下ですが、東芝とも三洋電機とも関係がある会社なのですよね!?
まさに、日本における充電式ニッケル水素電池の歴史って感じやんね。
目次
Panasonicと2つの『充電式ニッケル水素電池』
ご存じの方も多いかと思われますが、Panasonicには、『エネループ』と『充電式エボルタ』という、2つの充電式ニッケル水素電池のブランドが存在しています。
通常、1つのメーカーがこのような同系統のブランドを複数所持することは、あまり見られないことです。というのも、消費者からすると、『エネループ』と『充電式エボルタ』の違いがハッキリしないため。販売戦略的に、あまり良い手とは決して言えません。
そんなややこしいPanasonicの充電式ニッケル水素電池ですが、こう混沌としてしまったのには理由がもちろんあります。
『理由ある太郎』なのであーる。
……な、懐かしい。
『エネループ』と『充電式エボルタ』のルーツ
両者の決定的な違いを知る前に、まずは『エネループ』と『充電式エボルタ』のルーツを辿ってみます。
『エネループ』は三洋電機生まれ
まず、『エネループ』から。
今でこそ、“Panasonic”の『エネループ』ですが、以前は“三洋電機”の『エネループ』でした。このメーカーの変遷は、Panasonicが三洋電機を買収し、子会社化したために生じたものです。なお、現在も三洋電機株式会社は、パナソニックグループの連結子会社として存在しています。
三洋電機時代のエネループは、子会社である『三洋エナジートワイセル』が製造を請け負っておりました。しかし、この三洋エナジートワイセルは、現在のパナソニックグループではありません。三洋電機の子会社であったのにもかかわらず、です。
というのも、Panasonicが三洋電機を買収する際に、買収後の充電式ニッケル水素電池の世界シェアが大きくなりすぎると、米国と中国の独占禁止法当局から指摘を受け、三洋エナジートワイセルの株式は富士通系のFDKに譲渡されているのです。なおその後、三洋エナジートワイセルは『FDKトワイセル』と社名を変え、最終的にFDKに吸収合併されております。
Panasonicとしては、きっと『三洋エナジートワイセル』も欲しかったでしょうね。
そうでしょうな。
米国と中国の横槍がなければ、FDKから購入せずとも済んだもんねー。
『充電式エボルタ』はPanasonic生まれ
次に、『充電式エボルタ』について。
『エネループ』というブランドは、旧三洋電機がルーツでしたが、『充電式エボルタ』については、最初からPanasonicブランドで誕生した製品になります。ちなみに、『エネループ』は2005年に誕生、『充電式エボルタ』は2008年に誕生しています。三洋電機がPanasonicの子会社化になったのが、2009年12月21日なので、両社ともそれ以前に誕生していたわけです。
Panasonicが三洋電機を子会社化する以前から『充電式エボルタ』が存在していたということは、三洋エナジートワイセルではない、Panasonic独自の製造拠点を持っているという裏返しにもなります。
Panasonic Energyの生産拠点を見てみると、日本はもちろん、北米や中南米、中国、東南アジア、インドにもあるようですな。
さすがは、世界の松下って感じやね。
『エネループ』と『充電式エボルタ』の決定的な違い
『エネループ』と『充電式エボルタ』の決定的な違い、それは“製造国”にあります。
一部製品は異なるのですが、『エネループ』は“日本製”、『充電式エボルタ』は“中国製”、となっているのです。
前述したそれぞれのルーツから、『エネループ』は『FDK高崎(旧 三洋エナジートワイセル)』が製造しOEM提供を受けているもの、『充電式エボルタ』は中国にある『パナソニック エナジー無錫』が製造しているもの、そのように推測できます。
なるほどですわ。
歴史的背景があるから、生産国が分かれてるってことなんやね。
推測を多分に含んでいるけど、たぶんこれで合っていると思うのであーる。
注目は新型『エネループ (第5世代)』の製造国
さて、そんな『エネループ』と『充電式エボルタ』ですが、2023年3月30日、Panasonicより重大な発表がありました。
それが、充電式ニッケル水素電池のブランドを『エネループ』に統一するというもの。つまり、事実上の『充電式エボルタ』廃止というわけです。
| 第1世代 | 第2世代 | 第3世代 | 第4世代 | 第4.5世代 | 第5世代 |
発売年 | 2005年 | 2009年 | 2011年 | 2013年 | 2015年 | 2023年 |
メーカー | 三洋電機 | 三洋電機 | 三洋電機 | Panasonic | Panasonic | Panasonic |
製造国 | 日本 | 日本 | 日本 | 日本 (eneloop liteは中国) |
日本 (eneloop liteは中国) |
? |
そこで気になるのが、新型『エネループ (第5世代)』の製造国は“どこの国”になるのか、ということ。
今までは、『エネループ』と『充電式エボルタ』が存在していたため、エネループは『FDK高崎』、充電式エボルタは『パナソニック エナジー無錫』、そのようにある種の棲み分けがなされていたわけです。
それが今回、『充電式エボルタ』が消滅し、『エネループ』に統合されるわけですから、新型『エネループ (第5世代)』が、三洋電機のエネループの流れを汲んで『FDK高崎』から引き続きOEM提供を受けるのか、充電式エボルタ側に寄せて『パナソニック エナジー無錫』で製造するのかが、電池マニアとしては非常に気になるわけなのでして。
理想は『FDK高崎』製造、つまり日本製なのですが、現実的には『パナソニック エナジー無錫』で製造されそうな気がしております。
もし、新型『エネループ (第5世代)』が中国生産になり、どうしても日本製の充電式ニッケル水素電池が欲しいというのであれば、本家FDKの『ニッケル水素電池』、東芝の『充電式IMPULSE』、のいずれかに乗り換えることになるでしょう。
そうそう、『充電式IMPULSE』には、日本製と中国製があるから、その点は注意なのであーる。
まとめ「エネループとエボルタは製造国が違う」
『エネループ』は“日本製”、『充電式エボルタ』は“中国製”。
ただし、一部モデルはこの限りではない。
電池マニアとしては、『エネループ』は“日本製”を継続してほしいものです。
あと、『eneloop』のロゴをもっと大きくしてください。小さすぎるのです。
Panasonicのロゴとeneloopのロゴのサイズを、そのまま交換してほしいですな。
おまけ
うーん、奥が深いですな。
FDK株式会社については、もっと詳しく調べる必要がありますわね。
つまりは、調査続行やね!
おわり
このお話のキーマンになるのが、『FDK株式会社』なのであーる。