- Twitterによるサードパーティ製アプリの“締め出し”ほぼ確定
- 2018年の『User Streams API』廃止から締め出しは始まってた
- 課金制の『Twitter Blue』だけでもユーザーの声を反映すべき
有料の『Twitter Blue』が本格始動したので“お察し”でしたが、サードパーティ製アプリの締め出しが確定的になりました。そこで、改めて『Twitter Blue』に求められる機能について、考えていきます。
目的は理解できるけど、手段が独善的すぎるあーる!
報道を見る限り、締め出しが事実なら、開発者側に事前告知はすべきやんね。
目次
Twitterによるサードパーティ製アプリの“締め出し”
2023年1月13日ごろから、サードパーティ製のTwitterクライアントアプリが、Twitter APIに関連するエラーにより、アプリが利用できなくなるという事象が断続的に発生中です。
この件に関して、ユーザーの間では、「Twitter, Inc.が意図的にサードパーティ製クライアントアプリを締め出しているのでは?」という憶測が飛び交っております。
そんな折、米サンフランシスコのテック系メディアThe Informationが、「Twitter, Inc.の内部メッセージから、サードパーティ製のTwitterクライアントアプリの不可解な機能停止は、意図的な停止であることが分かりました」と報じたのです。つまり、“締め出し”は意図的だったわけです。
以前、同じくThe Informationが、Twitter, Inc.が世界最大級の広告会社であるGroupMに対して、その関係性を維持しようと、積極的なアプローチをしていることが明らかとなっています。
Elon Musk氏がTwitter, Inc.を買収し、同社のCEOに就任してからも、広告ビジネスの収益は回復しておりません。したがって、Twitter, Inc.に広告収入をもたらさない、サードパーティ製クライアントアプリを締め出しするのは、慢性的な赤字を改善するためのテコ入れと考えれば、(ユーザーが歓迎するかは別として)至極当然な流れではあります。
ただ、デベロッパーへのアナウンスもなしに、ある日突然に締め出しするのはいただけませんな。
企業としての信頼性も揺るぎますわね。
余談ですが、Twitterによるサードパーティ製クライアントアプリの締め出しについては、今に始まったことではありません。
2018年8月16日には、Twitter APIのひとつで、新着ツイートを垂れ流しで更新できる機能『User Streams API』が廃止されています。これは、Account Activity APIへの移行に伴うものではありましたが、多くのサードパーティ製クライアントアプリでUser Streams APIが導入されていたため、ここでもある種の“締め出し”のようなものが行われていたのです。
Twitter Blue加入者だけでもいいから、User Streams APIを扱えるようにしてほしいあーる。
まぁ、ないでしょうね。
ただ、その流れは今後、Mastodon用のクライアントアプリへ受け継がれていきそうですわ。
目的のひとつは『Twitter Blue』の加入者増
Twitter, Inc.が、サードパーティ製クライアントアプリを締め出した目的として、純正クライアントアプリを強制的に使わせることによって、広告収入を増加させていくことがあるはずです。
そして、もうひとつの目的として、有料のサブスクリプション『Twitter Blue』の加入者を増加させ、広告収入に依存しすぎたビジネスモデルを解消させようとしているのではないでしょうか。
Twitter, Inc.の2021年における第4四半期の売上高合計を見てみると、総売上高が15億6700万ドル、広告収入が14億1300万ドル、データライセンス収入およびその他の収入が1億5400万ドル、となっています。
要するに、Twitter, Inc.の売上高の約89%が広告収入というわけです。
今回報道されている、サードパーティ製クライアントアプリの締め出しによって、Twitterを広告なしで快適に利用したいユーザーの一部は、おそらく『Twitter Blue』の加入を検討し始めているころでしょう。もし、Twitter Blueの加入者が急増すれば、Twitter, Inc.としても、安定した収入の柱をもうひとつ持てることになるので、慢性的な赤字からの脱却への道筋が見えてくるかもしれません。
『Twitter Blue』のベネフィットは超貧弱
ブックマークに追加したツイートを後で簡単に見つけられるように、フォルダに分けて整理することができる機能。
スマートフォン版Twitterのアプリアイコンを変更する機能。
Twitter Blue専用テーマが利用可能。
ナビゲーションバーに表示される項目を選択して、お気に入りのコンテンツやTwitter機能にすぐアクセスできるようにすることが可能。
フォローやフォロワーの間で、もっとも多く共有された記事が自動的に一覧化される機能。
長いスレッドを読みやすい表示に変換可能。
送信後のツイートを、30分以内であれば5回まで編集可能。
ツイートの会話において、Twitter Blue加入者の返信が優先的に表示される。
最大で長さが60分まで、ファイルサイズが2GBまでの1080p動画をアップロード可能。
表示される広告数が、Twitter Blue未加入時と比べて半分に減少する。
所有しているNFTをプロフィール画像に設定可能。
サードパーティ製クライアントアプリの締め出しまでして、加入を誘導してくる『Twitter Blue』なる有料サブスクリプションですが、月額980円(iOS経由だと月額1,380円)として考えると、あまりにもベネフィットが貧弱すぎる。
もしも、仮に『Twitter Blue』に加入すれば、“表示される広告がゼロ”、“モーメントが復活”、“User Streams APIが利用可能”、“すべてのトラッキングを無効化”、ぐらいのベネフィットが得られるなら……ここまで大きな騒ぎにはならなかったはずです。
課金しても、広告が全部消えないって……。
殿様商売。
欲しい機能が、NFTプロフィール画像ぐらいしかないあーる。
まとめ「黎明期のエモさは影も形もない」
報道によると、Twitterが意図的にサードパーティ製クライアントアプリの締め出しをしたことが判明。
純正クライアントアプリの利用による、広告収入の増加と『Twitter Blue』加入への誘導、というのが濃厚。
やっぱり、(再任する前の)Jack Patrick DorseyのころのTwitterが一番好きでした。
大衆化は陳腐化、とも言いますので。
おまけ
とはいえ、 Twitter ≠ Mastodon ですからね、性質上。
Mastodonに移行しても情報収集には向いていないし、このへんは使い分けが肝要ですな。
ですね。
やはり、Twitterに限らず、1つのサービスに依存しすぎるのは危険ですわ。
それは常に肝に銘じるべきやんね。
おわり
APIの保守や開発にもコストが発生する。
広告収入に依存したビジネスモデルである。
…そう考えると、締め出しは仕方ないとは言えますが。