- ミラーレス一眼カメラ『OLYMPUS PEN-F』の後継機種が全然登場しない
- 小型スマートフォン『Apple iPhone mini』は“13”を以ってシリーズ終了
- 一部のユーザーに“超刺さるガジェット”というのは得てして売れない悲しみ
世の中には、一部に圧倒的な支持を受けつつも、売れなかったガジェットがあります。
『OLYMPUS PEN-F』や『Apple iPhone mini』は、その代表例。求められるが売れない。そんな“ジレンマのデバイス”についてのお話です。


適切な表現とは言えませんが、ノイジーマイノリティ感はありますわね。

でも、万人受けするガジェットってギークには刺さらないから、何かもどかしい気持ちになってしまうやんね。
目次
求められるが売れない“ジレンマのデバイス”

売れるガジェットもあれば、売れなかったガジェットもある。
そんなことは言うまでもありませんが、世の中には、求められるが売れない、求められたから出したのに売れなかった、そんなガジェットも数多く存在しています。
これがガジェットの難しいところなのですが、そんな“ジレンマのデバイス”の深淵について、ちょこっとだけ触れていきます。
ミラーレス一眼カメラ『OLYMPUS PEN-F』
まずは、ミラーレス一眼カメラ『OLYMPUS PEN-F』。
カメラ好きユーザーならご存じかと思われますが、OLYMPUS PEN-Fというのは、世界初のハーフサイズ一眼レフ『ペンF』をモチーフとしたミラーレス一眼カメラになります。
OLYMPUS(現在は『OM Digital Solutions』)のミラーレス一眼カメラには、ハイエンドな『OMシリーズ』とクラシカルな『PENシリーズ』があるのですが、このOLYMPUS PEN-Fは、PENシリーズの最上位モデルとしてリリースされた製品です。
最上位モデルだけあり、筐体の質感も高く、レンジファインダーライクなEVFまで搭載されております。所有欲を満たしてくれるという意味でも、大変素晴らしいカメラであり、発売から8年が経過した今でも支持するユーザーが多く、中古市場でも高値で取引されています。つまり、いわゆる“名機”というわけなのでして。
こう話していると、「それなら、後継機種を出せば売れそうだけど?」と思われる方もいるでしょう。
しかしながら、実際はそんなことはないのでして。OM Digital Solutionsの中の人とお話する機会があったので、OLYMPUS PEN-Fについていろいろ伺ってみたのですが、このように盛り上がっているわりに、当時の販売台数は芳しくなかったそうです。要するに、売れなかった、ということなのです。だから、後継機種を出すのは難しい…と。

「OLYMPUS PEN-Fの後継機種が欲しい」という意見については、耳に胼胝ができるほど伺っているみたいだけど…ねー。

そうはいっても、実際に出したら売れなかった、というパターンもあり得ますからね。

旧OLYMPUS陣営にとっては、それがトラウマなのかもですな。
あと、OM Digital Solutionsに変わって、経営資源や開発リソースが大幅に限られてしまったことも、要望を受け取ってもリリースできない一因かもしれないのであーる。
小型スマートフォン『Apple iPhone mini』
お次は、小型スマートフォン『Apple iPhone mini』シリーズ。
通常のiPhoneよりも、ひとまわり小型な5.4インチ(通常のiPhoneは6.1インチ)のディスプレイ。そのおかげで、手の比較的小さな女性であっても片手操作ができるのが魅力。
そんなApple iPhone miniシリーズも、『iPhone 13 mini』を最後に終了してしまいました。最初に登場したのが『iPhone 12 mini』だったので、まさかの2世代のみでシリーズ終了。昨今のAppleデバイスとしては非常に珍しい、かなり短命な製品となっています。
このことからもお察しのとおり、Apple iPhone miniシリーズは出荷台数が少なく、そもそも小さいスマートフォンが好まれない海外では“失敗”というレッテルを貼られる始末に。
日本ではそれなりにファンが多かったデバイスではありますが、それでも買い支えるのは日本人のごく一部。グローバルで製品展開を行なっているAppleからすると、需要はほぼゼロという扱いに。これはApple iPhone miniシリーズに限ったことではなく、 小型スマートフォン = ニッチで売れない という図式が業界全体で生まれつつあるように感じます。

最近やと、ASUSが小型スマホを展開する方針を転換して、ノーマルサイズな『Zenfone 11 Ultra』を発表したことも話題になったやんね。

これで小型でハイエンドなスマホというのは、市場から消えちゃったことになりますなー。
ファンの声はノイジーマイノリティか?
筆者としては、OLYMPUS PEN-Fの後継機種を出してほしいですし、Apple iPhone miniシリーズも継続してほしかったのが本音。ただ、この意見はノイジーマイノリティなのでしょう。
インターネット上だと、ついつい同じような意見を持っているユーザーの声に耳を傾けてしまいます。いわゆる、エコーチェンバーというものです。そこでついつい、「きっと、多くのユーザーが望んでいるのだ」と錯覚してしまうのでして。無論、マクロで俯瞰すれば、それはマイノリティな意見なのです。
OLYMPUS PEN-FやApple iPhone miniシリーズに興味がないユーザーは、わざわざ「そんなの要らない」なんて意地悪なことをSNSなどで書き込んだりしません。だって、最初から“どうでもいい”ことなので。対して、望んでいるユーザーは「欲しい!」と頻繁に書き込みたくなるもの。ここにズレが生じてしまうです。
誰も否定するつもりはありませんし、さまざまな意見があって然るべきです。ただ、熱烈なファンである自分の意見というのは、ひょっとするとノイジーマイノリティなのかもしれない、と脳をクールダウンさせてあげるほうがよいのでしょう。
そうしないと、ずっと過去のガジェットに固執してしまいますゆえ……。

新型が出ればラッキー、ぐらいの気持ちが精神衛生的にも理想ですな。

期待しすぎると、裏切られたときのダメージが大きくなってしまいますものね。
まとめ「“ジレンマのデバイス”はニッチの宿命」

求められるが売れない。
求められたから出したのに売れなかった。
……そんな、需要は一定数あるのに、思ったよりも販売台数が伸びないガジェットのこと。
ミラーレス一眼カメラ『OLYMPUS PEN-F』。
ミラーレス一眼カメラ“名機”で、後継機種を求める声は多い。しかし、OM Digital Solutionsの中の人曰く、「そこまで売れなかった」そう。
小型スマートフォン『Apple iPhone mini』シリーズ。
『iPhone 12 mini』『iPhone 13 mini』のわずか2世代で終わった、“悲劇のスマホ”。これにより、 小型スマートフォン = ニッチで売れない ということが明らかに。
“ジレンマのデバイス”になってしまうゆえん、それこそ『ノイジーマイノリティ』にあり。
ニッチなユーザーの声というのは、特定のエリアに集中しやすく、エコーチェンバーと化す。それゆえ、「きっと、多くのユーザーが望んでいるのだ」と錯覚してしまう。
ガジェットに限ったことではありませんが、一部のユーザーの声が拡声器がごとくエンハンスされたり、文字どおり『ノイジーマイノリティ』が跋扈してしまうのが、ことインターネットというもの。そのことを理解し、情報を知ることをしなければなりません。

「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」ということあーる。
……自戒っ!
おまけ

大きな世界を見ているようで、実は小さな世界の住人だったりする。
それがインターネットなのですな。

インターネットをする上での教訓ですわね。

ついつい、自分にとって都合の良い解釈をしたり、そのような情報ばっかり集めちゃうもんね。

そうそうっ!
インターネットの世界って、インタラクティブのように見えて、そこまでインタラクティブでなかったりするからねー。
おわり
『PEN-F』の後継機種も欲しいし、『iPhone 16 mini』も出てほしい!
発売される可能性は限りなく低いけど、こういうニッチなガジェットを心が欲しているのであーる。