Twitterの“影”に思うコト—クソリプ問題と求められる機能の考察

Twitterの“影”に思うコト—クソリプ問題と求められる機能の考察
サイト内の外部リンクはアフィリエイト広告を含む場合があります(詳細はプライバシーポリシーを参照)
記事のポイント
  • Twitterは表現の自由とクソリプの狭間に揺れている!
  • 早急に浄化させる機能を実装させる必要あり!
  • ユーザーのモラルと常識が今こそ求められる!

Twitterのディストピア的側面の考察。

全世界で3億3,000万ユーザー。日本で5,000万ユーザー。…Twitterという、いちSNSは、まさに全世界的なツールとなった。この功績は大きいが、同時に罪過も大きい。今回は、Twitterが素敵なSNSということを前置きした上で、ディストピア的側面について考えてみます。

まの

Twitterとナイフと車は、似ているのかも…しれませんわ。

二条ねこ

んんー!?

さたえり

難しそうな話やね……。

Twitterと社会インフラ

もはや、説明不要な『Twitter』というつぶやきSNS。

説明不要なSNS、Twitter。

説明不要なSNS、Twitter。

Twitterが産声を上げたのは2006年。日本版サービスはそこから遅れること2年、2008年4月23日にスタート。今でこそ、Twitterとは、とわざわざ説明するまでもないぐらいに成長しましたが、サービスローンチ当時としては、ミニブログ的な触れ込みだったようです。

そこから月日は流れ、現在では一般ユーザーだけでなく、タレント・政治家・企業・官公庁…など、いちSNSとは思えないくらいにパブリック化されています。そういう意味では、いち営利目的の民間企業が生み出した、全世界的な規模の社会インフラと言えるのではないでしょうか。

ちなみに、Twitterの人口統計を調べてみると、2020年5月時点で、3億3,000万の月間アクティブユーザーがいるとのこと。そして、1日に5億ツイートも飛び交っているそう。なお、日本は米国に次いで、世界で2番めにユーザー数が多いという統計も出ています。自由度の高さと匿名性の高さが、多くの日本人の思想とマッチしている(Facebookが日本でウケないのも然り)のでしょう。

まの

誰もが世界中とつながれるこの形こそ、十数年前のネットユーザーが夢を見ていた、サマーウォーズ的なWebの姿とも思ってしまいますわね。

二条ねこ

検索エンジンにはない、“小さなWWW”って感じだよねー!

Twitterとクソリプ問題

さて、そんなTwitterですが、全世界とフラットなネットワークで結ばれるメリットがある反面、センシティブでクリティカルな問題も生じてきています。

そう、誹謗中傷やヘイトなどを含むツイート。クソリプ問題です。

Twitterの悩みのタネ、いじめ・ヘイト・クソリプ。

Twitterの悩みのタネ、いじめ・ヘイト・クソリプ。

このクソリプ(この表現は下品な気がするので好きじゃないのですが、分かりやすいので使います)には、ことTwitter社も頭を抱えており、何度も何度もシステムのブラッシュアップでクリーンなSNSを維持しようとしています。車で例えるならば、誰もが事故を起こさない運転ができる機能を、永遠と開発し続けているようなものですね。

主なクソリプ回避機能

  • ユーザーのミュート
  • ユーザーのブロック
  • キーワードのミュート
  • クオリティフィルター
  • リプライ制限

そんなクソリプ問題を対処すべく、Twitterが導入している機能が上記のとおり。

ミュート・ブロック・クオリティフィルター

Twitterのミュート機能。

Twitterのミュート機能。

ユーザーのミュートやブロックは言わずもがな。誹謗中傷やヘイトを行ってくるアカウントに対して、受け手の視界に入らないようにミュート(非表示)したり、ブロック(拒否)したりする機能のことです。

自分にとって不快なキーワードが判明している場合は、特定のキーワードをタイムライン(ツイート・リプライ)上から非表示できる、キーワードのミュート機能も備わっています。

Twitterのクオリティフィルター機能。

Twitterのクオリティフィルター機能。

クオリティフィルターは、ダイレクトメッセージの場合は不適切なメッセージを除外し、ツイートやリプライの場合は、関連性の低いコンテンツを自動的に除外してくれます。

リプライ制限

2020年5月時点では“試験機能”なリプライ制限。

2020年5月時点では“試験機能”なリプライ制限。

リプライ制限は、2020年5月時点では試験機能なので、テスト参加に選ばれたユーザーしか利用ができない機能です。

リプライ制限では、リプライ可能なユーザー範囲を指定できる。

リプライ制限では、リプライ可能なユーザー範囲を指定できる。

このリプライ制限機能を用いると、ユーザーがツイートする際に、そのツイートに返信できるユーザーの範囲を指定できます。

指定範囲は、『全員』・『フォローしているアカウント』・『@ツイートしたアカウントのみ』の3つ。当然、『全員』を選べば、従来のツイートと同じように利用可能です。『フォローしているアカウント』を選べば、フォロー人数によっては、クソリプが飛んでくる確率も一気に減るはずです。

ただし、このリプライ制限は公開アカウントでツイートした場合、リプライこそできないが、どのユーザーも読むことができるようになっています。そこが鍵アカウントでのツイートとの違い。また、リプライができないようにツイート時に設定していても、コメント付きでリツイートをすることは可能。なので、“会話はするつもりないが拡散はしてもよい”、という立ち位置的なツイートをすることになります。

このリプライ制限を利用すれば、クソリプ防止だけでなく、公開討論のような形も実現可能。現実的には前者目的で使われそうですが、非常に興味深く可能性がある機能をテストしているという感じです。

クソリプ回避機能の問題点

クソリプを回避するには、まだ機能は不完全。

クソリプを回避するには、まだ機能は不完全。

  • ユーザーのミュート:捨て垢が容易に作成できる以上、効力は微妙
  • ユーザーのブロック:同上。相手が逆上する恐れあり
  • キーワードのミュート:効果的だが不完全
  • クオリティフィルター:アルゴリズム任せで未知数
  • リプライ制限:効果的な機能ではあるが、現段階では試験機能

前掲した、誹謗中傷・ヘイト・クソリプを回避する上で役立つであろう機能たち。しかし、私は上記のような問題点も同時に含んでいると考えています。

ユーザーやキーワードのミュートは、自己防衛という意味合いでは有用。しかしながら、誹謗中傷に値するボキャブラリーが豊富なことや、捨て垢(捨てアカウント:自身の素性は明かさないようにして用いられる廃棄前提のユーザーアカウント)が簡単に作れてしまうTwitterの現状を見る限り、あまり効果的な機能だとは言えません。

ユーザーのブロックについても、捨て垢が簡単に作れてしまう現状ではあまり意味がないでしょう。また、ブロックされていることが確認できてしまうTwitterのシステム上、相手が逆上して誹謗中傷がエスカレートする可能性も否めません。個人的には、ブロックを相手に認識させる必要性の疑問と、使いどころの難しさを感じてしまいますが……。

クオリティフィルターは、体感上ではありますが、あまりアテにはならない様子。アルゴリズムで動いているようなので、見当違いなキーワードの除外という可能性も無きにしもあらずです。

リプライ制限は、これらの機能の中では有用だと思っていますが、まだ試験機能段階。正式採用されるか否かはTwitterのみぞ知るですし、試験機能のテスターに選ばれなかったユーザーは、リプライ制限を利用することは当然できません(リプライ制限を選択する表示が現れない)。

とどのつまり、Twitter社も誹謗中傷やいわゆるクソリプ対策は講じているものの、そのすべてがディストピアと化しつつある現在のTwitterでは、効力が弱すぎるというわけなのです。

Twitterに求める機能

綺麗なTwitterを目指すべく求められる機能。

綺麗なTwitterを目指すべく求められる機能。

  • リプライ制限の正式実装。
  • 複数アカウント作成の制限。

この先のTwitterに対して、個人的に求める機能は上記の2つ。

リプライ制限の正式実装

前述のとおり、リプライ制限はすでにテスト機能として実装されているが、これが正式実装となることを望んでいます。

もちろん、このリプライ制限も難しいところがあり、フェイクニュースの一方的な発信に使われたりする可能性も含んでいます。なので、現時点ではテスト段階なのでしょう。ただ、ディストピアと化しつつある現在のTwitterでは、求めるユーザーが多いはず。

正式実装をするにあたって、どうフェイクニュースを判別し、排除していくかが課題になってくるはず。ここがクリアできれば、Twitterの自浄作用が向上すると個人的には期待しています。

複数アカウント作成の制限

リプライ制限の実装よりも実装すべきだと思っているのが、複数アカウント作成の制限と作成にあたっての厳格化

いっそ、Twitterアカウント作成時に本人認証を行えば…や、実名必須にすれば…、と考えてしまいます。しかし、Twitterは全世界的なSNSであるので、国ごとの法律とバランスを取ってルール化するのは難しいでしょうし、仮に実名必須となっても、ヘイトや誹謗中傷は減らないとの意見もあります。

これらはタラレバの話なので、実際になったらどうなるかは分かりかねる部分があります。ただ、複数のTwitterアカウントが容易に作れてしまうのは、捨て垢によるヘイトや誹謗中傷を助長してしまいますし、Twitter社としても、いちユーザーが常識を逸脱したアカウント数を保持するのを認めるのは、システム負荷やマネタイズの面で宜しくはないはずです。

なので、アカウントを作る際には、LINEのようなSMS(電話番号との紐付けという形での)認証をするのが、個人的には良い落とし所ではないかと考えています。そうすれば、複数アカウント作成したい場合に、大量のSIMを契約する必要があるので、捨て垢を作るハードルは上がりますし、警察が違法行為を行ったユーザーの本人特定を迅速に行えるはずです。

Twitterに思うこと

今のTwitterに思うこと。

今のTwitterに思うこと。

最後に、Twitterだけでなく、SNS全体に対して思うことを述べて終わりたいと思います。

ユーザーが多く、かつ無料で利用可能なSNS全体に言えることなのですが、良くも悪くもインフラ化しているのが現状です。その最たる例が、日本でいえばTwitterやLINEでしょう。

昔のネットのように、一部のユーザーだけが使うという時代はすでに終わり、幅広いユーザー層が使うツールへとなっています。だからこそ、昔のような性善説に則った自由の上で活動するというのは、かなり厳しくなってきているはず。残念かもしれませんが、年齢や性別、リテラシーがまちまちという誰もが使うツールにまでなったからこそ、ある種の“法”のようなものが必要になってきているかもしれません。

Twitterが無料なSNSであり、政治家や官公庁が利用している側面から、どこかパブリックなものと思ってしまいますが、あくまで、いち民間企業が運営するサービスのひとつ。ただ、いち民間企業であっても、ここまでの強大な社会への影響力を持っていまうと、パブリックなものを同等な扱いを受け、なおかつ社会的責任を求められるようになっていくでしょう。

そういう意味では、Twitter社はいち民間企業とは思えないくらい、考えるべきことが多いという苦悩もあるはず。そのことから、いかにSNSを運営するというのが難しいことなのかを、改めて考えさせられてしまいます。

そして、同時に性善説でサービスを運営する限界も見えてきました。もちろん、多くのユーザーは健全なユーザーではありますが、ここまでディストピア化してくると、性悪説ベースで運営する必要性もあるかもしれません。

まとめ「SNSの存在意義とモラルが問われる未来」

まとめ「SNSの存在意義とモラルが問われる未来」

いろいろな意見があるのは承知の上ですが、TwitterというSNSそのものが悪いわけではありません。また、多くのユーザーは健全なユーザーでしょう。

しかし、一部ではあるが、誤った使い方をするユーザーがいるのも事実。そういうユーザーが多くなればなるほど、SNSを運営する企業はシステムを改善する必要が出てきますし、法的規制が生まれる可能性も出てきます。そして、最後にはSNSの存在意義や必要性との天秤になるかもしれません。

自由で楽しいWebでありSNS。ただ、その自由はユーザーの性善説とモラルがあってこそ。自由なユートピア的Twitterになってほしいと思うのであれば、ユーザーのモラルや常識が今こそ問われている時と思ったほうがよいかもしれません。

まの

「ネットの中だからって 何でもやっていいと思ったら 大間違いだ!」ですわね。(映画サマーウォーズより)

Twitter 280文字の暴走—開発者のリツイート実装の後悔とVer.2.0の行く末

Twitter 280文字の暴走—開発者のリツイート実装の後悔とVer.2.0の行く末

2019年8月5日

Twitterの一括リツイート・引用ツイートの非表示ができない企業の思惑

Twitterの一括リツイート・引用ツイートの非表示ができない企業の思惑

2019年2月15日
この記事で紹介したガジェット

おまけ

二条ねこ

サマーウォーズの名言は、言い得て妙だよねー。

まの

そうですね。
ただ、悲しいのは、それを知ってか知らずか、現実はそれが守られていないことですわ。

さたえり

結構前の映画やのに、未来を投影している感じなんやね。

まの

映画の結末のように、ハッピーエンドならよいのですがね。

おわり

■Source
Twitter by the Numbers: Stats, Demographics & Fun Facts - Omnicore, Leading countries based on number of Twitter users as of April 2020 - Statista