- 完全ワイヤレスイヤホン用の高音質スマートフォンが欲しい!
- 『aptX Adaptive』コーデックに対応している製品がベスト!
- aptX Adaptive対応の高音質スマホは思ったより少ない!
高音質なAndroidスマホを求めて。
昨今の完全ワイヤレスイヤホンのポテンシャルを最大限活かすために、『aptX Adaptive』に対応したAndroidスマートフォンを購入することにしました。…そんな高音質スマートフォン探しのお話。
SoCとDSPの差異ですかね?
上位のSnapdragonのほうが高音質…とか!?
目次
高音質スマホが欲しい
本稿の最大の目的は、完全ワイヤレスイヤホンのポテンシャルを最大限活用できる高音質なスマートフォンを探す、ということです。
■Bluetoothコーデックの種類
- SBC
- AAC
- aptX
- aptX HD
- aptX LL(aptX Low Latency)
- aptX Adaptive
- LDAC
- Samsung Scalable Codec
- HWA(LHDC)
Bluetoothコーデック(オーディオ用コーデック)の種類も、今や多岐にわたる。こうなると、いかに“スペック上”高音質なBluetoothコーデックを搭載したプレーヤーを確保するのかが、いち音楽好きとしてのミッションだったりします。
そこで注目したいのが『aptX Adaptive』という、高音質と低遅延を両立させた新たなBluetoothコーデック。詳しいことは割愛するとして、転送ビットレートが279kbps〜420kbpsで可変し、レイテンシーは50ms〜80ms程度。48kHz/24bit(96kHz/24bitでの転送もSoCによっては可能)のハイレゾにも対応している。
Samsung Scalable CodecやHWA(LHDC)は独自色が強いので別として、『LDAC』という高音質がウリのBluetoothコーデックも存在している。ところが、このLDACはバッテリー消費等の問題から、完全ワイヤレスイヤホンへの搭載実績が非常に乏しいのが現状。なので、個人的な狙い目としているのが『aptX Adaptive』対応の高音質スマートフォンというわけです。
うーん、マニアックすぎる……。
無駄な買い物に終わらなければよいのですがね。
aptX Adaptive対応スマホは少数派
iPhoneは『SBC』と『AAC』という、2つのBluetoothコーデックしか対応していません。Bluetooth転送によるオーディオの音質は、Bluetoothコーデックだけですべてが決まるとは言い切れない。ですので、iPhoneがダメ…とはならないのですが、今回の目的である『aptX Adaptive』対応のスマートフォン探しというものからは外れます。
iPhoneの対応コーデックもそろそろ増やしてほしいよねー。
aptX系は無理としても、LDACは欲しいですわね。
では、Androidスマートフォンなら何でもOKなのか、と言われれば、そうではないのがややこしいところ。
同じく高音質がウリである、『aptX HD』や『LDAC』という2つのBluetoothコーデックは、Android O以降ではエンコーダがAOSPに寄贈されている関係で、対応スマートフォンがかなり多い。ところが、今回の『aptX Adaptive』に対応しているスマートフォンはとにかく少ない。しかも、開発者モードを覗くとaptX Adaptiveに対応しているが、メーカーサイトのスペックシート上は記載していない…なんてこともしばしば。
少なくとも、aptX Adaptiveのエンコーダのライセンス関係から、Qualcommの一部のSnapdragon搭載スマートフォンには絞られてはきます。ただ、欲しいAndroidスマートフォンがaptX Adaptive対応になっているかどうかは、ひとつひとつ当たっていくしかないということになります。
SoC的に対応していても、ベンダー側が採用を見送るのも全然あるからねー。
高音質スマホの購入候補
前置きがかなり長くなってしまいましたが、aptX Adaptive対応Androidスマートフォンの中で、購入候補となっているものを5製品ピックアップしてみました。なお、メーカーサイトでaptX Adaptive対応の記載がないスマートフォンに関しては、実機の開発者モードを開いて確認しています。
Xperia 1 II | LG V60 ThinQ 5G | AQUOS zero2 | Redmi Note 9S | OPPO A73 | |
SoC | Qualcomm Snapdragon 865 | Qualcomm Snapdragon 865 | Qualcomm Snapdragon 855 | Qualcomm Snapdragon 720G | Qualcomm Snapdragon 662 |
DSP | Hexagon 698 | Hexagon 698 | Hexagon 690 | Hexagon 692 | Hexagon |
Bluetoothコーデック | SBC AAC aptX aptX HD aptX Adaptive LDAC |
SBC AAC aptX aptX HD aptX Adaptive LDAC |
SBC AAC aptX aptX HD aptX Adaptive LDAC |
SBC AAC aptX aptX HD aptX Adaptive LDAC |
SBC AAC aptX aptX HD aptX Adaptive LDAC |
aptX Adaptive対応Androidスマートフォン
購入候補となるAndroidスマートフォンは、いずれも独自Bluetoothコーデック(Samsung Scalable Codec・HWA)を除けば、まるっと網羅されています。なお、aptX LLは、Wi-Fiと干渉して実装が困難な点と、aptX Adaptiveがあれば不要な点から、特になくても問題ないと判断しています。
Bluetoothコーデックはバッチリ——となれば、Bluetooth転送時の音質と関係してきそうな、スマートフォンのSoCとDSPを気にしつつ選定していく感じになってきます。あとは、せっかくなのでオーディオ以外の機能やデザイン性も考慮したいところ。
■追記:2021年02月05日
開発者向けオプションに表示されているBluetoothコーデックが、かならずしも当該Android端末が対応しているBluetoothコーデックとは限りません。Redmi Note 9SとOPPO A73は、aptX Adaptiveを正式にサポートしている旨の記述が公式サイトにはないので、利用できない場合もあります。公式にサポートされていない機種に関しては、実機を確認することを強くおすすめします。
【候補1】Xperia 1 II
Xperia 1 II | ||
---|---|---|
メーカー | Sony | |
SoC | Qualcomm Snapdragon 865 | |
RAM | 12GB | |
ROM | 256GB | |
Bluetooth | Ver. | Bluetooth 5.1 |
コーデック | SBC AAC aptX aptX HD aptX Adaptive LDAC |
|
バッテリー | 4,000mAh | |
インターフェース | データ | USB Type-C ×1 |
オーディオ | 3.5mmステレオミニジャック ×1 | |
その他 | Qi NFC FeliCa |
|
サイズ | 72×166×7.9mm | |
質量 | 181g |
Xperia 1 IIのスペック
※SIMフリー版(XQ-AT42)のスペックを記載。
- 価格:★☆☆☆☆
- 音質:★★★★★
オーディオ重視のスマートフォンといえば、真っ先に思い浮かぶのがSonyのXperiaシリーズ。その中でも、aptX Adaptiveに対応しているのが『Xperia 1 II』というフラグシップモデル。
独自のテクノロジー『DSEE Ultimate』を搭載しているだけあって、オーディオメインのスマートフォンとしてはかなりアリと判断。試聴した感じも、スマートフォンと考えれば文句なしという感じでした。価格が高価なのと、Xperia 1 IIIが出そうなのが気になるところですが、とりあえずの有力候補。
【候補2】LG V60 ThinQ 5G
LG V60 ThinQ 5G | ||
---|---|---|
メーカー | LG | |
SoC | Qualcomm Snapdragon 865 | |
RAM | 8GB | |
ROM | 128GB | |
Bluetooth | Ver. | Bluetooth 5.1 |
コーデック | SBC AAC aptX aptX HD aptX Adaptive LDAC |
|
バッテリー | 5,000mAh | |
インターフェース | データ | USB Type-C ×1 |
オーディオ | 3.5mmステレオミニジャック ×1 | |
その他 | Qi NFC FeliCa |
|
サイズ | 78×170×9.2mm | |
質量 | 218g |
LG V60 ThinQ 5Gのスペック
- 価格:★☆☆☆☆
- 音質:★★★★★
高音質に定評があるのがLGのスマートフォン。そんな中でも狙っているのが『LG V60 ThinQ 5G』という2画面スマートフォン。スマートフォンなのにDACを搭載している、このエモさからも有力候補。
今回は完全ワイヤレスイヤホンでの利用目的メインなので本題からそれるのですが、有線接続時は『Hi-Fi Quad DAC』が使えるのが魅力的。「LGのスマートフォンはDAC」と呼ばれるゆえんがここにあるという感じ。Qualcomm TrueWireless Stereo Plusには対応していないのですが、試聴した感じの音質も文句なしだったので、かなり気持ちが揺らいでいます。
【候補3】AQUOS zero2
AQUOS zero2 | ||
---|---|---|
メーカー | SHARP | |
SoC | Qualcomm Snapdragon 855 | |
RAM | 8GB | |
ROM | 256GB | |
Bluetooth | Ver. | Bluetooth 5.0 |
コーデック | SBC AAC aptX aptX HD aptX Adaptive LDAC |
|
バッテリー | 3,130mAh | |
インターフェース | データ | USB Type-C ×1 |
オーディオ | - | |
その他 | NFC FeliCa |
|
サイズ | 74×158×8.8mm | |
質量 | 141g |
AQUOS zero2のスペック
- 価格:★★★☆☆
- 音質:★★★☆☆
SoftBank版が異常に値崩れしているという点から、SHARPの『AQUOS zero2』も狙いどころ。試聴時の音質的には悪くなかったけど、搭載バッテリー容量が少ないので、そのあたりがオーディオ用としてちょっと不安。あと、3.5mmステレオミニジャックが非搭載なのも気になるかも。
【候補4】Redmi Note 9S
Redmi Note 9S | ||
---|---|---|
メーカー | Xiaomi | |
SoC | Qualcomm Snapdragon 720G | |
RAM | 6GB | |
ROM | 128GB | |
Bluetooth | Ver. | Bluetooth 5.0 |
コーデック | SBC AAC aptX aptX HD aptX Adaptive LDAC |
|
バッテリー | 5,020mAh | |
インターフェース | データ | USB Type-C ×1 |
オーディオ | 3.5mmステレオミニジャック ×1 | |
その他 | - | |
サイズ | 76.68×165.75×8.8mm | |
質量 | 209g |
Redmi Note 9Sのスペック
- 価格:★★★★★
- 音質:★☆☆☆☆
おそらく、最安クラスでaptX AdaptiveとQualcomm TrueWireless Stereo Plusに対応してスマートフォンなのが、Xiaomiの『Redmi Note 9S』。3.5mmステレオミニジャックもあるので、激安スマホオーディオ用にバッチリ…なのですが、試聴した結果、音質が有線も無線もあまり良くないイメージでした。安価で購入できるので致し方なしかも。
【候補5】OPPO A73
OPPO A73 | ||
---|---|---|
メーカー | OPPO | |
SoC | Qualcomm Snapdragon 662 | |
RAM | 4GB | |
ROM | 64GB | |
Bluetooth | Ver. | Bluetooth 5.0 |
コーデック | SBC AAC aptX aptX HD aptX Adaptive LDAC |
|
バッテリー | 4,000mAh | |
インターフェース | データ | USB Type-C ×1 |
オーディオ | 3.5mmステレオミニジャック ×1 | |
その他 | - | |
サイズ | 72.9×159.8×7.45mm | |
質量 | 162g |
OPPO A73のスペック
- 価格:★★★★★
- 音質:★★☆☆☆
開発者モードを見ると、aptX Adaptiveにひっそり対応していたのがOPPOの『OPPO A73』という廉価スマートフォン。音質はRedmi Note 9Sよりもちょっと気持ちマシかな、というくらいの感想。いくらBluetooth転送といっても、やはりある程度は音質と価格は比例するのかもしれません。
どれを買うべきか
…で、どれを買うつもりなん?
『Xperia 1 II』か『LG V60 ThinQ 5G』かなー!?
価格が価格なので、かなり悩んでいるのですが、Sony『Xperia 1 II』かLG『LG V60 ThinQ 5G』の2択まで絞り込んでいます。ひょっとすると、全然違うスマートフォンを買っているかもしれませんが、今のところはどちらかにする予定。
■追記:2021年02月12日
結局は『Xperia 1 II』を買いました。
まとめ「高音質でAdaptiveなスマホは希少」
今後登場するイヤホンやヘッドホンが、どこまでaptX Adaptiveに対応してくるかは微妙なところですが、aptX Adaptive対応スマートフォンは持っておきたいところ。ただ、その絶対数が少なく、なおかつ高音質をウリにしているスマートフォンはもっと少ない。
LGがスマートフォン事業を撤退するのでは…との報道も出ており、そうなると高音質なスマートフォンはXperia一択になるかもしれません。
Bluetooth中心だと高級DAPはやりすぎだし…うむむ。
おまけ
完全ワイヤレスイヤホンって、もっとライトに楽しむものな気がするんやけど……。
そうなんだよねー。
音質重視なら絶対ワイヤードなんだけど、もっとラフなリスニング環境下での高音質化を図りたいんだよねー。
…難しいですわね。
おわり
同じコーデックでもプレーヤーによって音が変わるんだよねー。うーむ……。